【臨床心理士解説】DaiGo式マインドフルネス瞑想をACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) から捉える

最近では,YouTubeで調べたい情報を何でも得られる時代になりました。マインドフルネスをはじめる際にも,ビジネス本やYouTubeを活用される方は多いのではないでしょうか?

そして、メンタリストDaiGoさんをきっかけにマインドフルネスを始められた方も多いのではないでしょうか?
メンタリストDaiGoさんは,マインドフルネスに関する研究や”マインドフルネスのやり方”をシンプルにわかりやすく解説してくれています。

一方で,「メンタリストDaiGoさんのマインドフルネスは,臨床心理学的にはどうなの?エビデンスはどうなの?」という意見もあるかと思います。みなさんも,ビジネスで有名なDaiGoさんの「DaiGo式マインドフルネスが心理療法的にはどうなのか」気になりませんか?

したがって,この記事では,DaiGo式マインドフルネスについて「”行動科学をベースとした心理療法であるAcceptance and Commitment Therapy (ACT)”からみて,どうなのか?」について解説したいと思います。

心理療法ACTからみたDaiGo式マインドフルネス

Googleの研修で有名になったマインドフルネスですが,さまざまな定義づけがなされています。DaiGoさんは,どのように定義づけしているのでしょうか?

DaiGoにおけるマインドフルネス

DaiGoさんは,マインドフルネスを「自分がしていることに気づき、そして気づいたことに対して判断を下さないこと」と表現しています。さらに,「究極のマインドフルネス」という書籍で,マインドフルネスをABCの3つの要素に分けています。

Awrenesss 気づき
Being あること
Clarity あるがままにとらえる

つまり,今この瞬間の感情・感覚に気づきながら,辛いや嫌だなと判断せずに,その感情・感覚を観察する状態をマインドフルネスとしています。

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)におけるマインドフルネス

Le:selfが軸をおいている理論であるACTは,人生で大切なこと(価値)につながる行動を増やしたり維持していくことを目指す心理療法です(ACTについて詳しく知りたい方はこちら)。ACTは,行動科学をベースとしているため,感情にフォーカスしたマインドフルネスと相容れないものと一見思われます。しかしながら,ACTでは,マインドフルネスを「大切なこと(価値)」につながる行動をサポートする要素として重視しています。

それでは,ACTでは,どのようにマインドフルネスを表現しているのでしょうか?

ACTにおけるマインドフルネスは「判断せずに感情を観察している状態」としています(熊野,2019)。行動科学的にマインドフルネスを表現すると,「随伴性に気づいている状態」です。例えば,電車の中で「会社に行きたくない」「あの仕事が残ってたな」という考えや感情が頭に浮かんでいることに気づいている状態です。
このような感情は,今ではなくて「未来」「過去」に向かうことが多くなります。ACTでは,この過去や未来に思考が行っている状態に気づき,その考えや感情に行動が支配されないように,客観的に心を観察する練習をします。

このような行動が支配されないように感情や考えを観察している状態を「マインドフルネス」と,ACTでは表現しています。

DaiGoにおけるマインドフルネスとACTにおけるマインドフルネスの共通点

DaiGoさんのマインドフルネスとACTのマインドフルネスの両方とも「自分がしていること,感情,思考に気づくこと」,「感情,思考について判断しない」ことで共通していると考えられます。

DaiGoにおけるマインドフルネスとACTにおけるマインドフルネスの違い

結論からいうとDaiGoとACTのマインドフルネスの違いは,目標にあると思います。

DaiGoのマインドフルネスにおいては目標が,ストレスに強くなることや仕事のパフォーマンスの向上に置かれています。一方で,ACTでは自分の大切なことや価値観につながる行動を増やすことに目標が置かれているという点で異なると考えられます。

たしかに,ACTもマインドフルネスをストレスとうまく付き合う方法として位置づけているものもあります。しかし、最終的な目標としては、自分にとって最も大切なものに向けて行動するためにストレスとうまく付き合うということをACTは明確な目標としておいているところが大きな違いと言えるでしょう。

DaiGoさんも他の心理療法も,「自分にとって大切なことに向けて歩む」という点は,前提として意識されているかもしれません。しかしながら,DaiGoさんのマインドフルネスは「知識の最大化」というところを目指す上での,記憶力の向上や仕事の効率化の手段としてマインドフルネスを活用しているようです。

したがって,DaiGoとACTにおけるマインドフルネスの違いは,DaiGoさんは,パフォーマンスの向上にマインドフルネスを活用することに重きが置かれている一方で,ACTでは自分の大切なことや価値観につながる行動を増やす維持することに目標が置かれているという点で異なると考えられます。

まとめ

今回の記事では,DaiGoさんのマインドフルネスとACTのマインドフルネスの違いについて話しました。

重きが置かれる目標は異なりますが,方法は同じです。そして、どちらを目標とするのが良いということではありません。むしろ、自分は何を目標とするのか、何を大切にしたいのかという、ACTでいわれるまさに自分の大切なこと(価値)に向けたマインドフルネスの使い方をしていくことが何より重要であるかもしれませんね。

Le:selfのACTプログラム(Le:self Method )

Le:selfでは、このように、流行っている方法を心理学の理論に照らし合わせ、きちんとした効果を理解した上で臨床心理士や公認心理師が使用をして参ります。

ACTプログラムは、マインドフルネスをただ実践するのではなく、思考や感情とうまく付き合うという目的を持ちながら用い、また何より自分自身の人生をしっかりと生きていく、「私自身」でいる時間を過ごすためという明確な目的をもってマインドフルネスの実践を進めてまいります。

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<参考文献>

1) Khoury, B., Lecomte, T,. Fortin, G., Masse, M., Therien, P., Bouchard, V., Chapleau, M., Paquin, K. & Hofmann, S.G. (2013), Mindfulness-based therapy : A comprehensive meta-analysis, Clinical Psychology Review, 33(6).

2) 祐宗省三・佐藤琢志(2009)  レジリエンス尺度の標準化の試み–『S-H式レジリエンス検査(パート1)』の作成および信頼性・妥当性の検討 (看護に活用するレジリエンスの概念と研究)  看護研究,42 (1) 、45−52

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