【臨床心理士解説】歩行瞑想のやり方とその効果とは

メディアや書籍でも瞑想が取り上げられるなど,心を整える方法として瞑想が当たり前になってきています。

一方で,「座った姿勢を維持するのが苦手」,「忙しくて日常に瞑想を取り入れられないこと」で悩まれている方は多いのではないでしょうか。

今回は,日常生活で必ず行う“歩く”といった動作を取り入れた瞑想である歩行瞑想のやり方,その効果を高める工夫,歩行瞑想の効果について説明したいと思います。

実は,歩行瞑想は,Googleの社員研修として取り入れられるなどパフォーマンスにこだわるビジネスパーソンからも注目されている瞑想なんです。

そんな歩行瞑想ですが,「やり方が難しい」「外でやることが多いため意識が逸れやすい」といった意見も多くあるようです。これらの歩行瞑想を行う上での悩みについてもお話しします。

歩行瞑想のやり方

歩行瞑想は,以下の三つのステップで行っていきます。

1. 肩の力を抜き深呼吸をする

2. 足裏の感覚を意識を向けて歩く

3. 歩きながら体の動き、パーツに意識を向ける

1. 肩の力を抜き深呼吸をする

まずは,深呼吸をしてリラックスして歩ける状態を作ります。肩を持ち上げてストンと肩を落とす動作を2〜3回します。立ったまま深呼吸していきます。呼吸をしながら,自分の呼吸に意識を向けていきます。

お腹の膨らみや肩の広がりなど呼吸をしている感覚などが感じられるかもしれません。

呼吸をしている自分に気づくことができたら歩行瞑想の準備OKです。

2. 足裏の感覚に意識を向けながら歩く

つぎに,呼吸から徐々に足裏に意識を向けていきます。

足裏に意識を向けながら,しばらく歩いていきましょう。右と左の足裏が交互に地面に着くイメージです。足が地面を蹴る感じや足裏が重力によって沈む感覚が感じられるかもしれません。

3. 歩きながら体の動き、パーツに意識を向ける

最後に,足裏からさらに細かい歩くことによるパーツの動きに意識を向けていきます。歩きながら足の筋肉や関節の動き,手の動きに意識を向けていきます。

特に,「地面から足が離れる感覚」「筋肉と関節を使って足を出す感覚」「筋肉と関節を使って足を下げる感覚」「地面に足がつく感覚」の4つの感覚に集中していきます。

歩行瞑想は,最初は5分,慣れれば20分くらい続けられるようになると言われています。しかしながら,個人差がありますので、自分のペースで無理をせず行なってみましょう。

歩行瞑想の感覚を意識することに慣れるために,まずは家などのゆっくりできる場所で裸足で練習するのがおすすめです。裸足だとさらに,足裏の感覚が伴いやすくなります。

歩行瞑想の効果を高める工夫

次に,歩行瞑想の効果を高めるための工夫を2つ紹介します。

ラベリングをする

歩行瞑想の実施していくと,「感覚を意識している状態がわかりづらい」「意識の切り替えが難しい」という意見を多くの方からいただきます。その場合は,「右足を上げる」「右足を下げる」「地面に着く」「地面から話す」と心の中で唱えるといったラベリングをすることをおすすめします。なぜなら,ラベリングすることによって,自動的に感覚に意識を向けていくことができるからです。

このような歩行による動作を自分の心で唱えるといったラベリングをすることによって,歩行動作やその感覚に意識を向けることができるのです。

そのほかにも,歩行瞑想をしていると「お腹すいたな」「今日の仕事はどうしよう」など雑念が浮かんでくることがあります。その際も,「雑念,雑念,歩行に戻ります」と自身の雑念にラベリングしてあげると,意識を歩行による感覚に戻すことができます。

外から自分を観察するイメージを想像する

歩行瞑想などの動きながら意識を向ける瞑想をしていると,本や情報としては分かるけれど,それが実際に心のトレーニングになっているのかわからなくなるときがあります。

その際に,自分を上空から第3の目でみるといった外から自分を観察するイメージを想像することがお勧めです。これによって,自分の感覚と少し距離をとりながら観察することができるため,歩行瞑想の感覚を冷静に見つめることができます。

しかしながら,外から自分を観察するイメージは最初は中々イメージするのは難しいと思います。したがって,歩行瞑想に慣れてきたなと思ったときに,外から自分を観察するイメージを想像することによって瞑想効果を高めるのがオススメです。

歩行瞑想の効果

歩行瞑想といった動きながら行うムーブメント瞑想は,脳の代謝を抑える,集中力が上がる,不安に強くなるの3つの効果があると言われています。

効果1 脳の代謝を抑える

歩行瞑想などのムーブメント瞑想を続けることによって,何もしないでぼーっとして脳のエネルギーを消費してしまうデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の状態を抑えることができることが示唆されています (Taylor et al, 2011) 。

DMNとは,内側前頭葉前野などの色んな脳の部位が意識していない活動を行うときに働いてしまう状態です(Raichle, 2015)。車のアイドリングのようなものです。つまり,DMNの状態だと,動いていないにもかかわらずガソリンを消費してしまい無駄に脳が疲れてしまいます。

DMNは抑うつとの関連が示されています (Zhou et al, 2020)。したがって,DMNを抑えることができる歩行瞑想によって,悩みを繰り返し考えてしまうことをストップする効果が期待できます。

効果2 集中力が高くなる

歩行瞑想などの今この瞬間の感覚に注意を向けるマインドフルネス瞑想には,注意を切りきりかえるための脳部位である前頭葉が活性化することが示唆されています(Cairncross & Miller, 2020) 。

ヒトは,色んな情報に対して無意識に反応してしまうといった自動操縦状態であると言われています。つまり,LINE通知がくると無意識にLINEの方に意識が向いてしまい,集中力が落ちてしまいます。しかし,歩行瞑想によって意識が逸れてもあるべき場所へ意識を戻す練習ができるため,意識が逸れても勉強や仕事に意識をすぐに戻すことができるとようになります。これによって,集中力が高くなると考えられます。

さらに,近年では集中するのが苦手な人であるADHD(注意欠陥多動性障がい)方々の注意を持続する訓練として歩行瞑想が取り入れられているなど(Cairncross & Miller, 2020),歩行瞑想によって集中力が向上することが期待できると言えるでしょう。

効果3 不安・ストレスに強くなる

歩行瞑想によって生み出されるマインドフルネスは,感情をコントロールする脳部位である前頭葉と感情を生み出す脳部位である扁桃体の作用を調整することによって,不安・ストレスに強くなることが示唆されています(Tang, et al, 2015) 。

人は,ストレスがかかる経験をすると扁桃体が危険信号を発して汗をかくなどの体の反応につながるのですが,それを抑えてくれるのが理性を担当する前頭葉なのです。

この二つの脳の連携がうまく働かないと,不安が突然おきるなどの自律神経の機能不全につながるのことが示唆されています(Prater et al, 2013)。

しかしながら,歩行瞑想をすることで,前頭葉と扁桃体の調整機能が活性化されることによって,不安・ストレスが生じてもその感情を一旦置いておくことや,ストレスがあるけど別のことに意識を向けることができるようになると考えられます。つまり,不安・ストレスがありながらも仕事や勉強に集中できるということです。

このような歩行瞑想の前頭葉と扁桃体の連携強化によって,不安・ストレスに強くなると言えます。

まとめ

今回の記事では,日常生活に取り入れやすい「歩行瞑想の3つのステップ」と,「ラベリングと外から観察するイメージによって歩行瞑想の効果が高められること」,「歩行瞑想によって脳の代謝を抑えられ,集中力が上がり,ストレス・不安に強くなること」を説明しました。

これによって,歩行瞑想の効果を実感しながら行うことができるのではないでしょうか。

今回の歩行瞑想は,「やさしくつよくしなやかな心で自分だけの人生を生きる」ために必要な「今この瞬間を感じる」レッスンにあたると言えるかもしれません。

Le:selfでは,おさんぽが好きな人に対して歩行瞑想を紹介するなど,皆様の好きなことや日常で継続しやすい瞑想を紹介することができます。

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<参考文献>

1) Taylor, V. A., Daneault, V., Grant, J., Scavone, G., Breton, E., Roffe-Vidal, S., … & Beauregard, M. (2013). Impact of meditation training on the default mode network during a restful state. Social cognitive and affective neuroscience, 8, 4-14.

2) Raichle, M. E. (2015). The brain’s default mode network. Annual review of neuroscience, 38, 433-447.

3) Zhou, H. X., Chen, X., Shen, Y. Q., Li, L., Chen, N. X., Zhu, Z. C., … & Yan, C. G. (2020). Rumination and the default mode network: Meta-analysis of brain imaging studies and implications for depression. Neuroimage, 206, 116287.

4)Cairncross, M., & Miller, C. J. (2020). The effectiveness of mindfulness-based therapies for ADHD: a meta-analytic review. Journal of attention disorders, 24, 627-643.

5)Tang, Y. Y., Hölzel, B. K., & Posner, M. I. (2015). The neuroscience of mindfulness meditation. Nature Reviews Neuroscience, 16, 213-225.

6)Prater, K. E., Hosanagar, A., Klumpp, H., Angstadt, M., & Luan Phan, K. (2013). Aberrant amygdala–frontal cortex connectivity during perception of fearful faces and at rest in generalized social anxiety disorder. Depression and anxiety, 30. 234-241.