【臨床心理士解説】慈悲の瞑想のやり方とその効果とは

慈悲の瞑想とは

慈悲の瞑想は、慈悲を通して心を整える瞑想法です。
慈悲とは,簡単にいうと「自分も含めたすべての人の幸せを願う」です。もともとは,仏教の瞑想の一つでした。現在では,心理療法やポジティブ心理学での研究知見が積み重なり,心を整えるためのトレーニングとして取り入れている方も増えてきました。

慈悲の瞑想のやり方

a.瞑想の準備

まず最初に,座っても横になってもいいのでリラックスできる姿勢を作ります。
手は胸の上に置いても良いし,腕を自然におろしてもいいです。
自身が安心できるように姿勢を整えます。
呼吸しながら,自分の呼吸に意識を向けたら慈悲の瞑想の準備OKです。

慈悲の瞑想では,自分の意識を向けるだけでなく,自分の頭の中の言葉(体験)にも注意を向けていきます。

b.瞑想の実践

①大切な人に向けて

まずは大切なひとを思い浮かべましょう。
自分を笑顔にしてくれる人,優しくしてくれた人の表情などを思い浮かべていきます。
そして,その人に向け,幸せを願う言葉を心の中で伝えていきます。

たとえば,

「〇〇が幸せでありますように」
「〇〇が,穏やかでありますように」
「〇〇が,健康でありますように」

(ゆっくりと優しく何回か繰り返しましょう)

※ このセリフをそのまま使ってもいいですが,幸せを願うときに自分自身がよく使う言葉を使用しても良いでしょう。

※別の考えが浮かんだ時は,それに気づき,「雑念,雑念,戻ります」と唱え,大切な人の表情や慈悲の言葉に意識を戻していきましょう。意識が逸れても焦る必要はなく,自分のペースで戻していきましょう。

②自分自身に向けて

次に,自分自身も慈悲の輪に加えていきます。先ほど浮かんだ大切にしている人と一緒にいる自分を想像しながら,慈悲の言葉を頭で繰り返し唱えていきます。

たとえば,

「〇〇と私が幸せでありますように」
「〇〇と私が,穏やかでありますように」
「〇〇と私が,健康でありますように」

③他人への感謝の後に自分自身に向けて

最後に,大切な人のイメージに”ありがとう”と感謝を伝えて,自分自身の幸せを願っていきます。
手や心に温かみを感じてみるのも良いでしょう。心の中で自分自身をイメージして,自分自身に向けて幸せを願っていきます。

「私が,幸せでありますように」
「私が,穏やかでありますように」
「私が,健康でありますように」
「いつも,私自身のためにありがとう」

(温かい気持ちで,何度か繰り返します)

c.瞑想の振り返り

数回深呼吸して,手を上下に動かしながら外の世界へと意識を戻していきます。

いかがですか,心に温かみや重みなどかんじられたでしょうか?

ありのままの自分を受け入れながら,慈悲の瞑想の体験を振り返ってみましょう。

詳細は,マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック(Neff &Christopher, 2019)を参照にしても良いかと思います。

慈悲の瞑想の効果

慈悲の瞑想の効果について、3つご紹介します。

効果その1 – ストレスに強くなる

慈悲の瞑想を続けると,ストレスに強くなることが明らかにされています。具体的には,意志力や思考を司る脳の部位である前頭葉を活性化させることや(Klimecki et al, 2012),ストレスに強くなる神経である迷走神経を強化するなど生理的な変化をもたらすと言われています(Kok et al, 2013)。

効果その2幸福感が高まる

慈悲の瞑想を続けるとネガティブな感情が減り,ポジティブな感情が増えることがいわれています。実際に,7週間実施することによって自尊心や幸福感が高まり,うつ症状が軽くなることが研究でわかっています(Kok et al, 2013)。そのほかにも,他者の幸せをみたときの感情喚起を左前頭帯状回が活性化することも言われています(Leung, Chan, Yin, Lee, & Lee, 2013) 。

効果その3共感力が高まる

相手の気持ちを読み取る共感力が鍛えられるといわれています。脳の研究によると慈悲の瞑想を毎日30分2週間行ったところ、共感力を司る島部の活性化がみとめられました(Engen, Bernhardt, Skottnik, Ricard, & Singer, 2018) 。その他にも,愛情に関わる部位である前頭眼窩野が活性化しやすくなることが明らかになるなど,慈悲の瞑想は相手の気持ちを読み取る力を高めるトレーニングと言えるでしょう(Lippelt, Hommel, & Colzato, 2014)。

まとめ

今回の記事では,自分を含めた全ての人の幸せを願う慈悲の瞑想では,自分の大切な人を思い浮かべる,その人の幸せを心の中で願う,そしてその人に感謝をして上で自分の幸せを心の中で願う3つステップでできることを説明しました。

今回ご紹介したこの慈悲の瞑想は,Le:selfの軸とする心理学的理論Acceptance and Commitment Therapyで心理的柔軟性を身につけるための下図の3つのポイントの中の「自分の考えや気持ちをやさしく受け入れるレッスン」に位置づけられると言えるかもしれません。

このように文章でまずは理解し、ご自身で実践をしてみるのもとても良いと思います。
しかしながら、1人でやっていると、「やり方があっているのか」と不安になってしまったり、「なかなか続かない」といったような問題を感じることもあるかもしれません。
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<参考文献>

1) Klimecki, O, & Singer, T. (2012). Empathic distress fatigue rather than compassion fatigue? Integrating findings from empathy research in psychology and social neuroscience. Pathological altruism, 368-383.

2) Kok, B. E., Coffey,  K. A., Cohn, M. A., Catalino, L. I., Vacharkulksemsuk, T., Algoe, S. B., & Fredrickson, B. L. (2013). How positive emotions build physical health: Perceived positive social connections account for the upward spiral between positive emotions and vagal tone. Psychological science, 24, 1123-1132.

3) Germer, C. & Neff, K. (2019). Teaching the mindful self-compassion program: A guide for professionals. Guilford Publications.

4)Engen, H. G., Bernhardt, B. C., Skottnik, L., Ricard, M., & Singer, T. (2018). Structural changes in socio-affective networks: Multi-modal MRI findings in long-term meditation practitioners. Neuropsychologia116, 26-33.

5)Lippelt, D. P., Hommel, B., & Colzato, L. S. (2014). Focused attention, open monitoring and loving kindness meditation: effects on attention, conflict monitoring, and creativity–A review. Frontiers in psychology5, 1083.

6)Leung, M. K., Chan, C. C., Yin, J., Lee, C. F., So, K. F., & Lee, T. M. (2013). Increased gray matter volume in the right angular and posterior parahippocampal gyri in loving-kindness meditators. Social cognitive and affective neuroscience8(1), 34-39.