【公認心理師解説】生きがいがないと感じる40代女性のためのACT(アクト)

「子どもが大きくなって、やっと自分のために時間が使えると思ったけど、私って何がしたかったんだろう?生きがいってなんだったかな?」

「40代は人生の折り返し地点。今の生活も悪くないけど、なんだかな・・・私はこのままでいいのかな」

「ミッドライフクライシスってTVで聞いたけど、なんだか怖い。自分は大丈夫かな」

こんなことを考えてモヤモヤしながら日々過ごされている方が、この記事を読んでくださっているのかもしれません。

この記事では、生きがいがないと感じている40代が、心理学の理論に基づいたできることをお伝えしていきます。

生きがいとはなにか

「生きがい」という言葉はよく聞かれ、ふと「私の生きがいって・・・」と考えることもあるかもしれません。よくある使い方としては、「生きがいを感じる」というのが一般的でしょう。

広辞苑によれば、生きがいとは「生きるはりあい。生きていてよかったと思えるようなこと」と定義されています。

何を生きがいと感じるかは人によって異なり、共通している生きがいというものはありません。だからこそ生きることがしんどくなったり、辛さを感じたときに、自分の生きがい探しを始めたり、生きがいに疑問を感じるのでしょう。

偉人の名言から考えられる生きがい

ここで偉人の名言をいくつかをご紹介します。

過去の多くの偉人たちが人生や生きがいに関する名言を残しています。どんなに有名な偉人であっても、どんな時代であっても生きがいについて考えているようです。

ウィリアム・シェークスピア【人生とは選択の連続である】

スティーブ・ジョブズ【終着点は重要じゃない。旅の途中でどんだけ楽しいことをやり遂げているかが大事なんだ】

フジ子・ヘミング【人生に無駄なことなんか、ひとつもない。生きるってことは、いろいろ経験すること。その時は、自分とはまったく関係のないことのようでも、その経験が大切に思える時がきっとくる。】

これらに共通しているのは、生きがいというゴールや正解があるわけではなく、その過程や経験そものもが重要であることを示してくれているようです。

家庭役割を中心に生きてきた女性たちの生きがい

ここでは40-50代の女性を対象とした研究を2つご紹介します。

ある調査研究4)によると、特に専業主婦の場合は第一子の巣立ちが完了した段階で、自分という存在に疑問を感じやすくなってしまう(アイデンティティの拡散)ことが示唆されています。

つまり、子育てを中心として母や妻としての役割に重きをおいてきた女性は子育てがひと段落しはじめると、心理的な葛藤が生じやすくなり、更年期という身体的な葛藤もあわせて経験してしまうということになります。

別の研究3)によると、子育てを中心とした家庭役割を果たしてきた40-50代女性たちは、子育ての義務から解放されたと感じた頃が心理的な転換期となり、人生の後半は自分のために生きるべきと捉えて、これまで培った趣味・教養・地域活動の場で自己実現を目指していることが見出されています。

自分のために生きるべきと考える時期に、自分がこれからどう生きたいのか、自分は何が好きなのかが不明確だと、生きがいがないと考えてしまいやすくなってしまうことが推測されます。

また、ミッドライフクライシスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。ミッドライフクライシスとは「中年の危機」ともいわれます。40代から50代に陥りやすく、**「自分の人生は、このままでいいんだろうか」「これからどう生きていこうか」**などと心の葛藤や危機感を募らせることです。性別は関係なく、80%の人が一度は陥る状態だともいわれています。

警視庁(2023)の調べによると、令和4年中における自殺者の総数は21,881人で、前年に比べ874人(4.2%)増加したという結果がでています。年齢で比較すると、一番が「50歳代」、次いで「40歳代」の順となっています。

3万人を超え続けてしまっていた2000年前後と比べると減少傾向にはありますが、年間2万ものひとが自ら命を絶っているのが現実です。また年齢で考えたときに、40,50代が全体の約30%を占めています。

もちろん自殺の原因は多岐にわたり、年齢だけが要因ではありませんが、ミッドライフクライシスに陥りやすいことが事前にわかっているのであれば、深刻な状態になる前に対策を取っていただきたいというのがいち心理師としての願いです。

しかし、さきほどの偉人たちの名言でもみられたように、どのように歩むかが大事といわれても、歩む方向や歩き方がわからないと困ってしまうのも事実です。

そこで自身の歩む方向探しのお手伝いをするのに役に立つ、Acceptance and Commitment Training(ACT)という心理学の新しい考え方をご紹介していきます!

生きがい(=自身の歩む方向性)探しのお手伝いをするACT(アクト)

ACT(アクセプタンス & コミットメントトレーニング・セラピー)はアクトと読みます。考えや感情と新しい付き合い方を提案するトレーニングの1つです。

ACTでは自然と湧き上がってしまうこころの苦痛や問題に対して、それを否定するのではなく受け入れることを基本とします。そして、自分自身が大切にしたい考えを大切にしながら、いきいきとした生活を送ることも同時に目的としています。

「価値」といわれる自分が選択した大切にしたい人や考えをもとに行動し続けることを目指していくのです。価値はコンパス(方位磁石)に例えられ、自分の向かっていきたい方向、すなわち自分軸のようなものを指します。

ここで価値に関するエクササイズを1つ紹介します5)。

【あなたの80歳の誕生日パーティーを想像してください。知りあい数人が、あなたの生き方や信念、彼らにとってどんな存在だったかをスピーチしてくれます、なりたい自分として生きてきた理想の世界では彼らはどんな内容のスピーチでしょうか】

40代の今は母、妻、社会人などの多くの役割をこなしながら日々を生きているでしょう。まずはそれぞれの役割の中で、どういってもらいたいかを考えてみましょう。

また、この「価値」が明確になったら、そのためにどんな行動ができるかを具体的に考えられるとより良いでしょう。

例えば、子どもの意見を尊重するような母親でいたい、という価値が出てきたとしましょう。尊重する、というのはあなたの中でどのような行動をすることをいうのでしょうか。

例えば、

子どもがAとBで進路(受験や就職など)を決めていくときに、本人は考えているときは意見をせずに日々の生活が安心できるように生活を整え、意見が聞きたいと言ってきたときだけ自分の意見を伝えて「あなたの選んだどんな道でも応援しているから」と伝える。

このように具体的に考えることができると、「価値」すなわち「生きがい」に沿った行動を続けることが可能となり、結果的に「生きがいある人生」を歩んでいることになります。

ここまで具体的に考えるには時間がかかるかもしれませんので、一人で考えるよりも誰かと一緒に考える方が早く整理できるかもしれません。

母としてだけではなく、一人の女性として人間としてどうしていきたいかも合わせて考えていけると、より良いでしょう。

まとめ

この記事では、生きがいがないと感じる40代の方がACTという理論に基づきながらできることをご紹介していきました。

〇生きがいとは生きるうえでのはりあい。生きていてよかったと思えるようなこと。しかし生きがいというゴールや正解があるわけではなく、その過程や経験そものもが重要だと偉人たちは考えている。

〇ミッドライフクライシスという状態があり、40代から50代には多くの人が「自分の人生は、このままでいいんだろうか」「これからどう生きていこうか」などと心の葛藤や危機感を募らせてしまうことがある。

〇ACTでは生きがいという人生の方向性を探す過程だけではなく、どう行動していくかを考えていくことができる。

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<参考・引用文献>

1.警視庁 2023 平成4年における自殺の概要資料

2.松尾洋平・渡辺三枝子 2007 現代中年職業人が抱く不安感と心理的危機 経営行動科学, 20(2), 155-168.

3.難波淳子 2000 中年期の日本人女性の自己の発達に関する一考察ー語られたライフヒストリーの分析からー 社会心理学研究, 15(3), 164-177.

4.清水紀子 2004 中年期女性における子の巣立ちとアイデンティティ 発達心理学研究, 15(1), 52-64.

5.ハリス,R. 武藤 崇(監訳) 2012 よくわかるACT(アクセプタンス & コミットメント・セラ ピ ー)― 明 日 か ら つ か え る ACT 入 門 ― 星 和 書店 (Harris, R. 2009 ACT made simple: An easy-to-read primer on acceptance and commitmenttherapy. Oakland, CA: New Harbinger)

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