【臨床心理士解説】ラベリング瞑想のやり方とその効果とは

「考えたくないことをついついぐるぐると考え続けてしまって眠れない」、「考えが影響して良いパフォーマンスができない」という方、実は結構多いのではないでしょうか?

このような考えと上手に距離をとる練習ができると言われているラベリング瞑想のやり方を覚え、継続していくだけで、これらを解決することができると言われています。今回は、ラベリング瞑想のやり方と効果について、言葉が人間にどのように影響しているのかを含めながら解説します。

ラベリング瞑想のやり方

ラベリング瞑想とは、あなた自身が今この瞬間に感じている感覚、感情、思考を言葉にしていく瞑想です。

ラベリングといった感覚・感情・思考を言葉にすることによって,人間は客観的な視点を持つことができると言われています1)。このラベリングの力で、今この瞬間の感覚・感情・思考に気づき、意識して、必要なときにうまく距離をとることができるようになるのがラベリング瞑想です。

ラベリング瞑想のやり方は、下図のように、呼吸瞑想をしながら、浮かんでくる感覚・感情・思考を言葉にしていくという形になります。

※マインドフルネスでは,浮かんでくる感覚・感情・思考をありのままに感じて気づくことが目標です。したがって、呼吸をコントロールしないで、呼吸をしたいように呼吸するようにしましょう。

a. ラベリング瞑想のための姿勢を整える

b. 呼吸に意識を向ける

c. ラベリングする

私たちに対する言葉の影響とラベリング瞑想

言葉のウラとオモテ

「考える」ということは悪いことばかりではありません。
「赤信号のときは横断歩道渡っちゃダメだよ」という言葉に従うことで、私たちは事故に遭わなくて済んでいます。「雨が降るから傘を持っていかないと」という言葉に従うことで雨に濡れなくて済みます。

このように実際には起こっていないけど、「言葉のルール」というものだけで、人間は行動を変化させることができるのです。これは人間だけの素晴らしい能力であり、動物などにはないものだとも言われています。しかし、言葉は悪い方向に私たちを導くこともあります。例えば、「プレゼン失敗したら終わりだぞ」という言葉が頭から離れず、自信がないまま人前で話をすることはないでしょうか。本来、プレゼンうまくいったかいかないかは、人によって評価は違うものであり、それが失敗したからといって終わりかどうかは全くわからないはずです。しかし、その言葉だけで私たちはいつもよりうまくパフォーマンスができなくなってしまう、そんなことが起きてしまうのです。

つまり、言葉のせいで現実に起きない・必ずしも起きるわけではないルールに従ってしまい、取りたくない行動を取ってしまったり、パフォーマンスが落ちてしまったりすることがあるということなのです。

ここでちょっとした簡単なワークをしてみましょう。この文字を見てください。

これを見て、どんな感覚が生まれたでしょうか。

多くの方が頭の中にレモンのイメージや酸っぱさなどを思い浮かべたのではないでしょうか。私の場合は、口の中が酸っぱさとともに唾液までもでてきました。これが、言葉が思考や感情に影響する力です。みなさんは、「レモン」という文字をみただけなのに、酸っぱさやレモンのイメージが頭に浮かび、実際にレモンが目の前にあるように感じられたのです。

さて、今度はこちらはどうでしょうか。

たちまち、酸っぱさや唾液は消え去り、なんだか不思議な感覚やなんでもない感覚に変化したのではないでしょうか。

そうです。私たちの頭の中に浮かぶ考えはもちろん大切なものであるときもありますが、一方でこのような文字の羅列でしかないのです。

この原理をうまく活用した瞑想が「ラベリング瞑想」になります。
ラベリング瞑想では、浮かんできた考えを評価することなく、ただ浮かんできたものとしてラベルを貼っていきます。普段であれば、「お腹が空いたな」→「でもダメダメ!ダイエット中だし。お腹空いたなんて考えないようにしなきゃ。」などと次々と考えを評価したり考えに従って行動をプランニングしたりしてしまうような脳の動きをしてしまうのではないかと思います。

しかし、ラベリング瞑想は、「お腹が空いたな」→「空腹」という形で、評価をすることなく、言葉にただの単語のラベルとペタっと貼っていく練習をすることで、浮かんできた考えを客観的に観察し、うまく距離をとることができるのです。

ラベルを貼るのが難しいなと思う方は、「〇〇と考えた」「〇〇と思っている」という語尾をつける形、つまり誰かが自分頭の中の浮かんできた考えを実況中継しているような形で行うことも良いでしょう。

ラベリング瞑想の効果

ラベリング瞑想をおこなう、続けることでどんな効果があるのでしょうか。

1番の効果は思考や感情に飲み込まれにくくなるということです。そのため、目の前のやりたいことに集中もしやすくなるでしょう。なぜなら、ラベリングによって、思考と現実との距離をとりやすくなる、つまり、考えていることと現実とは別であるということに気づいて、思考や感情に囚われた状態から抜け出しやすくなるからです。実際に、ラベリング瞑想をおこなったことで、気をそらすための活動をおこなうよりも、ことばに対する不快感情の度合いやそのことばが現実に起こりそうだと感じる度合いが減少したという研究結果もあります2)。

〜わたしはばかだ〜

このような思考が浮かんできた時、「わたしはばかだ、”と考えた”」と視点を変えてみたり、”悲しさ”・”苛立ち”などの感じたことを言語化したりしてみましょう。浮かんできたことに対して、これをしばらく続けていくことで、考えていることと現実とは別だということが実感されやすくなり、過度に落ち込んだり、怒り続けたりしなくなっていきます。

まとめ

今回の記事では、ラベリング瞑想のやり方や効果についてお話ししました。

○ラベリング瞑想は瞑想をしつつ、浮かんできた言葉にラベルを貼るように単語にしていくという方法
○言葉に何かを結びつけてイメージすることができるという能力は、人間にだけ備わっており、良い行動も悪い行動も生み出す
○ぐるぐると考え続けることなく、うまく考えと距離を取りたいときに、継続していると役立つのが「ラベリング瞑想」

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あなたがこれまでに振り回されてきたこともあるさまざまな思考や感情にやさしく気づいて、今この瞬間の現実に立ち戻り、自分らしく生きることを助けてくれるでしょう。

自分の状態に気づきやすくなると、ネガティブな思考・感情にも気づきやすくなることから、そこから派生して、自分を責めるなどの思考が浮かび、距離をとりにくくなることもあるかもしれません。そんな時は、慈悲の瞑想 などもおすすめです。

しかしながら、どのような実践が自分に必要なのかを理解したり、継続していくことは1人では難しいこともあるかもしれません。

人間関係において、頭で考えすぎてしまうことで疲れてしまう
仕事のことをついつい家に帰っても頭で考えすぎてストレスが溜まる

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<参考文献>

1)熊野宏昭(2011). マインドフルネスそしてACTへ 星和書店

  1. 茂本由紀・武藤崇(2013). 脱フュージョンエクササイズの作用メカニズムの検討  心理臨床科学,3 (1),13−26

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