【臨床心理士解説】マインドフルネス・タッピングのやり方とその効果とは

不安とうまく付き合うためにマインドフルネスを始めたいのだけど良い方法はあるかと考えている方,「マインドフルネス・タッピング」がおすすめです。

「マインドフルネス・タッピング」という方法自体には研究知見はありません。しかしながら,「マインドフルネス・タッピング」は不安や恐怖に対してその場ですぐに効果が得られたりと不安や恐怖に対して強くなる可能性がある方法だということが,タッピングとマインドフルネスそれぞれの文献から期待されるからです。

この記事では,「マインドフルネス・タッピング」のやり方とその効果について説明しています。「マインドフルネス・タッピング」って流行っているようだけど,ちゃんとした方法なのかという疑問がある方もぜひお読みください。

マインドフルネス・タッピングとは

「マインドフルネス・タッピング」とは,体のツボを叩くことによって自分自身が無意識にかけてしまっている「心のブレーキ」をはずすことのできる方法だといわれています(山富,2016)。

体のツボを叩きながらその感覚に集中すること自体は,マインドフルネスの実施方法の1つであるといえます。

Le:selfの軸とする理論,Acceptance and Commitment Therapyの観点からすると,マインドフルネスのトレーニングを行うことで,「今ここ」に意識を向けることができ,心のブレーキとなっている言語のバリアから離れることができるので,「心のブレーキをはずすことのできる方法」と紹介されているのかもしれません。

マインドフルネス・タッピングのやり方

「マインドフルネス・タッピング」は,”タッピング”,”感覚に注意を向ける”,”動きに注意を向ける”の3つのステップで行います。

a. マインドフルネス・タッピングの準備

まずは,呼吸に意識を向けていきます。肩を持ち上げてストンと肩を落とす動作を2〜3回します。深呼吸をしていきます。深呼吸しながら,自分の呼吸に意識を向けていきましょう。お腹の膨らみや肩の広がりなど呼吸をしている感覚などが感じられるかもしれません。呼吸をしている自分に気づくことができたらマインドフルネス・タッピングの準備OKです。

b. タッピングする

次に,眉頭 ・目の下 ・ わきの下・ 鎖骨下の順に2本指で5回ずつツボをタッピング(トントン叩く)していきます。

以下にツボの場所を掲載いたします。

頭の中で,「トン・トン・トン・トン・トン」と唱えながらツボをタッピングすることをおすすめします。

c. 感覚に注意を向ける

すべての部位のツボをタッピングし終えたら,タッピングしている体の部位の感覚に注意を向けていきます。

まず,感覚に意識を向けやすい部位を選んでいます。眉頭 ・目の下 ・ わきの下・ 鎖骨下・手の内側面・足のない側面などあなた自身がタッピングして心地よい場所を選びましょう。そのほかの部位でもかまいません。あなたがやりやすい部位がおすすめです。

今回の説明は,鎖骨下を選んだとして,説明していきます。(あなたが選んだ部位に置き換えて説明を読んでいただけると幸いです)

鎖骨下を「トン・トン・トン・トン」と1分間叩いていきます。その際に鎖骨下がタッピングされる感覚に意識を向けていきます。鎖骨下が温かくなるなどの感覚が感じられるかもしれません。

d. 動きに注意を向ける

そして,感覚に意識を集中することができたら,感覚に意識を向けながら以下の動作をゆっくり行っていきます。

  1. 目を開けます
  2. 目を閉じます
  3. 目を開けて,顔はまっすぐのまま,視線を右下に
  4. 視線を左下に
  5. 目を1回転させて
  6. 目を反対回りに1回転させます
  7. 短いメロディーをハミングする(例えば,幸せなら手を叩こう♪のメロディーを鼻歌)
  8. 1から5まで数えます
  9. 再びハミング(例えば,幸せなら手を叩こう♪のメロディーを鼻歌)

これらを鎖骨下をタッピングしながら行います。これが,マインドフルネスにおける注意の分割です。

e. 最後に

最後に,鎖骨下をタッピングしながら,顔はまっすぐ前のままで10秒くらいかけて視線だけを床から天井まで動かします。少し全身を動かしていきましょう。

マインドフルネス・タッピングの効果

「マインドフルネス・タッピング」そのものには,実は研究知見はありません。しかしながら,タッピング療法とマインドフルネスには研究知見があります。したがって,ここではタッピング療法とマインドフルネスの研究知見から,マインドフルネス・タッピングの期待される効果について説明していきたいと思います。

タッピング療法の研究知見

タッピング療法は,不安や恐怖の低減に効果があることが示されています(Clond, M,2016)。その理由として,タッピングによって心拍数が安定するからだと考えられています。心拍数の急上昇は,パニック障がいや不安障がいのリスク要因です (Kawachi, Sparrow, Vokonas, & Weiss, 1995) 。このような不安や恐怖につながる心拍数の急激な変化を,タッピング療法では緩やかに安定にしてくれる効果があるのです。

実際に,外に出ることに対して極度な不安を持つ広場恐怖症者の不安症状の低減に対してタッピング療法は,認知行動療法と同等の効果があることが示されています (Morikawa, Takayama, & Yoshizawa, 2021) 。

これらから,タッピング療法にはリラクセーションのような機能,つまり体をリラックスさせることで,心をリラックスさせる方法であるといっても良いかもしれません。

マインドフルネスの研究知見

マインドフルネスとは,今この瞬間に気づくことです。人は,気づけば過去や未来に意識がいきがちです。それに気づき,今この瞬間の感覚や意識に注意を向ける練習を,マインドフルネスでは行っていきます。

マインドフルネスによって,不安,恐怖などの反応を積極的に受け入れられるようになることが示唆されています (Kawachi, Sparrow, Vokonas, & Weiss, 1995)。なぜなら,今この瞬間に意識を向けることによって,冷静に不安や恐怖の反応を観察できるようになるからです。

実際に,12ヶ月のマインドフルネスを含むマインドフルネスストレス低減法によって,不安症状が22%減少することも示されています(Clarke, Mayo-Wilson, Kenny, & Pilling, 2015) 。

タッピングをマインドフルに行うことで期待される効果とは

つまり,タッピングはその場でのリラクセーションとして効果を発揮し,マインドフルネスは,今ここに気づき思考や感情とうまく付き合うことができる心のスキルを身につけると効果があるというわけです。

タッピングをマインドフルに行うマインドフルネス・タッピングによって,その場の不安や恐怖の緩和だけでなく,日常的に不安や恐怖にも強くなるトレーニングにもなるということが期待できます。

まとめ

今回の記事ではマインドフルネス・タッピングが体のツボをタッピングしながら感覚や動きに注意を向ける瞑想であることを説明しました。

マインドフルネス・タッピングは,心拍数が安定することでのリラクセーション効果と不安や恐怖に対しても普段から積極的に受け入れることができるマインドフルネスのトレーニングの2つの要素を持ち合わせているので,何か不安や緊張場面での使用もできますし,普段からのトレーニングとしても使用できることがわかります。

今回のマインドフルネス・タッピングは,「やさしくつよくしなやかな心で自分だけの人生を生きる」ために必要な「今この瞬間を感じる」レッスンにもあたりますし,感情があらわれる体に意識を向けるという意味では,「自分の考えや気持ちをやさしく受け入れるレッスン」とも言えるかもしれません。

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<参考文献>

1) 山富 浩司(2016).「和の引き寄せ」を加速するマインドフルネスタッピング KADOKAWA

Clond, M. (2016). Emotional Freedom Techniques for Anxiety. The Journal of Nervous and Mental Disease, 204, 388–395.

2) Henderson, H. A., Pine, D. S., & Fox, N. A. (2015). Behavioral inhibition and developmental risk: a dual-processing perspective. Neuropsychopharmacology, 40, 207-224.

3) Jelici, M., Geraerts, E., Merckelbach, H., & Guerrieri, R. (2004). Acute stress enhances memory for emotional words, but impairs memory for neutral words. International Journal of Neuroscience, 114, 1343-1351.

4) Kawachi, I., Sparrow, D., Vokonas, P. S., & Weiss, S. T. (1995). Decreased heart rate variability in men with phobic anxiety (data from the Normative Aging Study). The American journal of cardiology, 75, 882-885.

5) Morikawa, A., Takayama, M., & Yoshizawa, E. (2021). The efficacy of thought field therapy and its impact on heart rate variability in student counseling: A randomized controlled trial. EXPLORE.

6) Lonigan, C. J., & Vasey, M. W. (2009). Negative affectivity, effortful control, and attention to threat-relevant stimuli. Journal of abnormal child psychology, 37, 387-399.

7) Vøllestad, J., Nielsen, M. B., & Nielsen, G. H. (2012). Mindfulness‐and acceptance‐based interventions for anxiety disorders: A systematic review and meta‐analysis. British journal of clinical psychology, 51, 239-260.

8)Clarke, K., Mayo-Wilson, E., Kenny, J., & Pilling, S. (2015). Can non-pharmacological interventions prevent relapse in adults who have recovered from depression? A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Clinical psychology review, 39, 58-70.