【公認心理師解説】自律神経を整えるためのマインドフルネス瞑想のやり方、効果
昨今、「自律神経のバランスを整えよう」などと謳われていますが、そもそも、“自律神経”とは何で、どういったものなのでしょうか。このコラムでは、その疑問について詳しく解説するとともに、具体的な実践方法についてもお伝えしていきます。
Table of Contents
1. 自律神経とは
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つに分かれており、わたしたちの体内の機能を自動的に調整してくれているものです。
交感神経は、私たちが興奮したり、エネルギッシュになったりするときに働きます。例えば、運動するときや興奮したときに、私たちは交感神経が働いていることを感じることがあります。この神経は、心拍数を上げたり、血圧を上げたり、エネルギーを使うための準備をする役割を担っています。
一方、副交感神経はわたしたちがリラックスしたり、休息したりするときに働きます。例えば、ゆっくりと深呼吸をするときは、副交感神経が働いています。この神経は、心拍数を下げたり、消化を促進したり、体を休ませる役割を担っています。
交感神経と副交感神経は、バランスが保たれるように調整されているのですが、ストレスや疲労、運動不足、食生活の乱れなどの、生活の中での様々な要因によって、バランスが崩れることがあります。
例えば子どもが公園で怪我をしないように一緒に遊んだりするときには、子どもの状態を観察し、危険を事前に予測してすぐに対処できるように交感神経が働いています。しかし子どものことだけを常に考えるなどして緊張状態が継続されてしまうと、長い間交感神経が働きつづけ、副交感神経が機能しにくくなってしまうのです。それにより、頭痛・腹痛・集中力の欠如・鬱々とした気持ちの高まりなど、様々な身体的・精神的な症状が現れることがあり、生活のしにくさに繋がっていきます。
自律神経のバランスを保つことは、体と心の健康を維持していくために大変重要であるといえるでしょう。自律神経のバランスはシーソーをイメージしてもらうといいかもしれません。シーソーはどちらかに傾いていては楽しめないし、バランスよく動いていても動きが早すぎたり、遅すぎたりしても楽しめませんよね。私たちが日々を自分らしく生きていくためにも、交感神経と副交感神経というシーソーがほどよいバランスや速度で動いていることが重要です。交感神経は比較的高まりやすいですが、副交感神経はなかなかそうはいきません。そのため副交感神経がしっかりと働くように日頃からリラックスするような行動を意識的にとっていく方法をいくつか提案させていただきます。
例えば、深呼吸をする・自然に触れる・ゆっくりと遊ぶ・適度な運動をする・睡眠の質を高めるなどの行動が例に挙げられます。加えて、“瞑想”も、有効な方法とされ、自律神経を意識的に整えることで、身体的・精神的な症状の改善につながることも報告されています。
2. 自律神経とマインドフルネス瞑想
「瞑想はいいとは聞いても、いまいちやり方が分からない」「少しやったことはあるけれど本当に効果があるのか実感できなかった」「そのそも瞑想とかマインドフルネスってなに?」そういう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
瞑想は副交感神経を活性化させ、リラックスや心身の健康を促すことが、これまでの研究によって明らかにされています。瞑想をすることで、呼吸を深くゆっくりと行うことができ、交感神経が抑制され、副交感神経が優位になるため、身体的なストレスや緊張状態を解消し、心身共にリラックスすることができるのです。瞑想の一種である、マインドフルネス瞑想はその場でのリラックスを目的としているわけではありませんが、続けることで、自律神経を調整することができるとされ、現在では、ストレスや不安症状の改善に有効な方法として注目されています。
例えば、ある研究では、マインドフルネス瞑想を行うことで、心拍数や呼吸数が減少し、副交感神経の活性化が見られたと報告されています。また、継続的なマインドフルネス瞑想によって、脳内の神経回路の変化をもたらすことも示され、脳内の特定の領域が活性化し、ストレスや不安症状を軽減する効果があることが報告されています。
上記のように、マインドフルネス瞑想によって自律神経が調整され、ストレスや不安症状の改善につながることも示されていますが、1度おこなったらいつでもリラックス状態が保てる、というほどの即効性があるものではありません。
というのも、そもそもマインドフルネス瞑想は、全意識を持って、今、この瞬間に目を向け(=マインドフルネス)ながら座って呼吸をする様(=瞑想)というものです。呼吸ををリラックスすることが目的なのではなくだ、リラックスをしていてもしていなくてもその状態にしっかりと気づく(=マインドフル)であることが大事になってきます。
マインドフルネスの効果の1つに、集中をしたり、注意を切り替えるなど注意制御がより行いやすくなるというものがあります。マインドフルネスを行うことで1つのことだけにとらわれてしまわず、他のことに注意を切り替えやすくなるということです。
交感神経が優位でありつづけてしまうことが自律神経のバランスを崩すきっかけの1つとなるため、1つのことだけにとらわれてしまうことは危険ですよね。マインドフルネスを行うことでそれが起きにくくなったり、1つのことにとらわれてしまっている状態に気づきやすくなります。
そのためマインドフルネス瞑想を継続的に取り入れることで、副交感神経が優位になるだけではなく、他のことに意識的に注意を向けやすくなることで、結果的に身体的なストレスや緊張状態を解消し、心身共にリラックスした状態を作り出すことができると考えられます。
マインドフルネスの効果についてさらに詳しく知りたい方はぜひこちらの記事を読んでみてくださいね。
マインドフルネス瞑想のやり方でメジャーな方法は呼吸瞑想でしょう。私たち日本人だと、座禅といわれるとイメージしやすいかもしれません。しかし、何時間も座りつづける時間も機会もないですよね。そんな時間があるなら悩んでいないかもしれません。
家事をしながら、食べながらなど他にもやり方がいくつもあります。その具体的なマインドフルネス瞑想のやり方や続け方もぜひ参考にしてみてくださいね。
3. まとめ
今回は、自律神経を整える方法として、マインドフルネス瞑想を中心にご紹介しました。
〇自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、このバランスを取るために、副交感神経を意識的に活性化させることが大切であること
〇自律神経を調整する方法として深呼吸する以外にも瞑想がある
〇マインドフルネス瞑想を継続的に行うことで、注意制御が容易になり、結果的に副交感神経を活性させ、身体的なストレスや緊張状態を解消させうる
上でもお伝えしたように、効果がすぐに現れるものではありませんが、生活の中で継続的に取り入れることで、自律神経のバランスが整い、心身共にリラックスしやすい状態を作り出すことができますので、1日5分からでも、ぜひ、取り入れてみてくださいね。
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<参考文献>
参考文献:
西岡良平・小川裕一郎・櫻井洋介 『身体とこころの神経科学』 医学書院、2017
田村淳一 『自律神経の科学』 中外医学社、2018
大久保裕之・平松伸二 『自律神経とストレス』 医学書院、2013
Davidson RJ, Kabat-Zinn J, Schumacher J, et al. Alterations in brain and immune function produced by mindfulness meditation. Psychosomatic Medicine, 2003; 65(4): 564-570.
Tang YY, Hölzel BK, Posner MI. The neuroscience of mindfulness
この記事の執筆者
公認心理師。Acceptance and commitment Therapy(認知行動療法)を専門とし、より良い生き方を軸におくカウンセリング(子育て・家族・働く人)を得意とする。SNSやネットで検索をすれば的確な答えがでてくる時代。でも自分は何を大切にして生きていきたいのかは誰も教えてくれません。科学的な根拠にもとづいた方法で、あなたが大切にしたいこと(価値)を見つけ、歩んでいくことを一緒にやっていきませんか?